
京都のお寺では今、春期特別公開という催しがなされている。ほぼ終わりになっているが、円山公園の一番奥にある建礼門院で知られる長楽寺が本日までなので、曇りではあったものの行くことにした。
場所が場所だけにコインパークや京都市営の円山公園駐車場ははっきり言って高い。円山公園内の道に路上駐車するわけにはいかず、いつもながらこの駐車場に入れている。
円山公園についてみると平日だが、大勢の人がゆっくりと散歩したり休憩したりしている。そして最も目立つのが修学旅行生達。前回4月の下旬頃に円山公園に行った時には、修学旅行生はいたがごくわずかだった。ところが今日は随分目立つ。温暖な気候ということで男子学生は黒ズボンに白のカッターシャツ、女子の方がベストを着用している。生徒達が多くてもそれで別々の学校だということが分かる。一部高校生の修学旅行生もいたがほとんどが中学生だ。
既に宇治市から京都市に入るまでに何台もの観光バスを見ていた。窓際には白い服が目に入る。つまり中学生の修学旅行用のバスだ。宇治市内を走っていたバスは間違いなく平等院へ行くものだろう。また別のバスは平等院見学を終えて高速に入って京都市内方面へ向かうようだった。
そういえばつい1週間前だったか、テレビニュースでコロナに関する規制が撤廃されたので、修学旅行団体専用の新幹線が京都駅に到着したということで、到着式の様子が放映されていたのを思い出した。こうして今現在は毎日のように、次から次へと京都・奈良コースの修学旅行生が訪れているんだろう。円山公園に限らず東大路通をを車で通過する時にも、あちこちで修学旅行生の班行動が目立っていた。円山公園でも同様に班行動だが、所々に引率の先生が待っていて、各班が通過するとチェックをしている。そして「次は平安神宮に行くんだね・・・」等と言った関東弁が聞こえてきた。生徒たちは5~6人で一つの班を組み男女合同で移動しているが、それぞれの顔を見ていると本当に嬉しそうな様子だ。中には先生に呼ばれて、おどけた調子で「はいわかりました。ただいま馳せ参じまする。」等と周りのみんなを笑わせている生徒もいた。

考えてみれば昨年と一昨年はコロナ禍の中で、大半の学校において修学旅行が中止となり、それに代わって校内で何らかの行事を行って、その代わりにする学校が多かった。修学旅行というのは小学校、中学校、高等学校においても、ある意味一生思い出として残るような生徒たちにとってみれば、極めて大切な行事だ。それが中止になるということは、大人の感覚からは計り知れないほど生徒にとってみれば、大きなショッキングな出来事になったはずだ。そんな中生徒たちは本当によく耐えて、日々の学習に臨むことができたものだと思う。
私も中学校などに勤めていて修学旅行には何度も引率している。正直引率する方としては、夜など何もないだろうと思い、ぐっすり眠るなんていうことはただの一度もなかった。夜中は生徒たちの隠密行動のオンパレードで、先生方は交代制で寝ずの番をせざるを得ない。どうしても強烈な寝不足になる。昼間は昼間で、他校生徒とのトラブルが最も警戒すべき対象となる。実際にトラブルが起こったことがあった。そのために相手側の学校がこちらが宿泊するホテルにやってくるかもしれないということで、対策を講じたこともあった。
しかし基本的には全体として、修学旅行そのものは生徒たちにとって楽しいものだったはずだ。そういった意味では引率する身としては、さほどの楽しさというものではないが、やはり生徒達と一緒になって楽しい話をしながら接することが、生徒たちの安心感にもつながる。普段学校の中では見られないような姿も見ることができ、このような行事というのはそのような良い側面も非常に多い。従って新任1年目の年に早速、修学旅行引率があって、もう今から何十年も前のことになるが、未だに鮮明に覚えている。その時の彼等彼女達も還暦となるはずだ。
その後も何度も修学旅行の引率はしたが、一度だけ修学旅行が中止になるかもしれないという場面に出くわした。1995年1月の阪神淡路大震災だ。この時点では中学2年生を担当しており、学年が上がって3年生になり、5月に長崎への修学旅行が予定されていた。しかしこの大地震は山陽新幹線の橋脚さえ破壊してしまったのだ。
もちろんあまりにもの大震災に大変な被害で、また大勢の犠牲者が出たということで、修学旅行のことなど全く頭からぶっ飛んでしまった。少し落ち着いた頃に修学旅行の方はほぼ無理だろう、と思わざるを得ないような状況だったのだ。ニュースでも山陽新幹線の復旧は夏頃になる可能性があるなどと報道されていた。担当の旅行業者も現段階では何とも言えないと言う。生徒達も半ば諦めていたようだった。
ところがここからが日本の技術の凄さというのだろうか。やはり新幹線は日本の大動脈ということで、復旧工事がとんでもない速さで進み、なんと5月には全線開通してしまったのだ。これには正直ビックリした。そのおかげで修学旅行に行くことができたのだ。神戸およびその周辺の都市がまだまだ惨状を呈している中で、ある意味申し訳ない気持ちがあったが、修学旅行が実施されたことにより生徒たちには、複雑な思いとともに、またいい思い出にもなったものだと思う。
生徒たちの中には休日に大人と一緒に、神戸へボランティアで手伝いに行った者もいる。本当に偉いものだとつくづく思った。

今日の円山公園の修学旅行生達はどの顔を見ても、明るく元気に本当に楽しそうにしていた。京都や奈良のコースというのは主に古都の神社仏閣などの見学が中心となるだろうが、それはそれで将来大人になってから来ることになる生徒達も多いだろう。でもそれはそれでいいのではないかと思う。今も毎日毎日、各地から大勢の修学旅行生達が訪れているだろう。旅館、ホテルでの宿泊も含めて大いに楽しんでほしいものだと改めて思った次第だ。
(修学旅行生の画像はTVニュースより)