切れ切れ爺さんのつれづれ日記

京都の寺社紹介と多様な社会問題・闘病記等

蝋梅を探して・・・誕生寺  京都市伏見区 2024.2.12  訪問

   

『誕生寺の由来

当山は山号を妙覚山と称し寺号を誕生寺と申します。
ここ京都市伏見区久我の郷はその昔、久我家のお屋敷が あった処といわれております。
永平寺 の六十六世日置黙仙禅師は、大正の初め、久我家の当主通久候と此の久我の地に到り歴史の跡を調べ、こ の地こそ誕生寺建立の最適の地なりと合議一決し、田村一 郎、浅野総一郎、御木本幸吉その他政財界の方々のご協 力により、高祖大師ご自作と伝うる越前(福井) 武生 郷の妙覚寺をご尊像とその寺号と共に此の地に移し、 大正七年一月地鎮祭を修し、大正九年五月には仮本堂に 入仏遷座の式が行われたのでありますが、計らずも同年九 月二日日置禅師様は新潟県養広寺のご親化戒場に於い 七十四才を以って突如としてご遷化遊ばされ、后計画も一頓挫したまま昭和五十年代までまいりました。その 間豊川稲荷尊天を勧請奉安し、山門の降昌を祈っていたのであります。
然る所恰も平成十二年(西曆二〇〇〇年)は高祖大師ご生誕八百年の嘉辰を迎えるに当り、再び復興計画が進み、 昭和五十七年より平成十二年にかけて、ご本山を初め全国の有縁の方々のご浄財により、稲荷堂、本堂、庫裡、 山門、坐禅堂、鐘楼堂、供養塔、境内整備等が完成し、ご生誕八百年をお迎えする事が出来ました。
伏して冀くは高祖大師のご遺徳と皆々様方の一層のご協力によりまして曹洞宗門及び誕生寺の降昌を祈り上げ、かんたんではありますが当山の由来と致します。
尚、写経百万卷奉納運動中であります。ご奉納下さい。 写経は受付に有りますのでお申し出下さい。
  山主』    (説明板より)

  

 誕生寺は伏見区の久我橋西岸にある。名前の由来はもちろんある人物の誕生をこの地であることを示すために創建されたお寺として付けられたものだ。その人物は曹洞宗道元
 元々平安時代が終わり鎌倉に幕府が開かれ、京都の公家の一族であった村上源氏、またの名を久我氏というが、その貴族の家に生まれた。貴族の「久我」の名前を引き継ぎ、今現在もこの地域は「久我」と呼ばれ、上記の桂川にかかる橋も久我橋となっている。その村上源氏の居住区域がこの辺りであったことから、道元がこの地で生まれたものとしてお寺を創建 することになったということになる。ただし歴史家たちの間ではこの場所が確定的なものでなく、他の場所であるという説もあって未だに不明な部分が残されている。しかしお寺として建てられてしまったので、一般的にはここが道元誕生の地として扱われている。

    

 それにもかかわらず 鎌倉時代以降も、特にこの地に何かがあったわけではなく、大正時代に入って一部の人々及び政財界の篤志家たちが中心になって、この地に誕生寺を創建するということになった。従ってこのお寺が建ってからまだ100年余りという短い歴史となる。本堂などの建物も全体的に新しさがあって、事情を知らなければ古いお寺が建て直されたと思うかもしれないが、実際には本当に新しいお寺ということだ。

  門前には広大な駐車場があり、そこからすでに塀沿いに黄色い花が見える。正直意外だった。正面から撮影を始めると蝋梅の花が徐々にくっきりと姿を表す。山門をくぐり境内に入ると、右にも左にも蝋梅の木が見事な黄色の花を咲かせている。このお寺が蝋梅の名所であるという情報は、 ネットなどで検索しても全くなかった。ただ京都の蝋梅ということで調べると、ごくわずかに地図上でこの寺が示されていただけだ。
 まず何と言っても広い境内の中で蝋梅の木は左右真ん中も含め、何本も根付いておりあちこちで黄色の輝きを放っている。ついついシャッターを切るスピードが速くなる。全体像を入れたり中間の花が広がってる様子を撮ったり、 アップで撮影したりする。もちろんどの木を撮影しても蝋梅の花は基本的にはほとんど何も変わらない。従って背景にお寺の建物や 山門などを入れたりして、花に焦点を合わせていろんな構図で撮るということになる。時間を忘れてあれこれ撮って非常に満足だった。

     

 蝋梅を求めてあちこち回っていると、意外なところにあったりする。先日紹介した宇治市の恵心院もほとんどネット上では取り上げられていない。また書物上でも概要の紹介はあっても、蝋梅云々ということは書かれていない。この誕生寺においても同じことが言える。そういう点を見ると蝋梅の扱い というのは、花の名所紹介には当たらないのではないかと考えてしまう。花の変化はどのお寺に行っても特にないが、これも四季の花の名所紹介に入れてもいいのではないかと思える。
 蝋梅と書いても梅の文字はあるものの、梅の仲間ではない。全く別の花ということになるがしかし、どういうわけか蝋梅のあるお寺に行くと、梅の木があるケースが多い。何かの関係を持たせようとしているのかどうかはわからないが、梅の名所と蝋梅の花が重なるということも比較的よくあるケースに思えた。